 |
 |
 |
私はこれを波動や時間といった目に見えないものを写真に表す行為と解釈します。
ある日音楽家no.9との仕事においてクラドニ図形という現象を知りました。この現象の視覚的神秘性と再現性を被写体とすることは、この行いに対しとても有効であると思いました。
今回の展示はクラドニ図形の再現性を大事にするために、あえて感情や感覚等の不確定要素を排除した定量的な表現に撤し、その上で三つの技術的表現を行いました。
一つ目は、秋秒間のスローシャッターを用いてある音階から次の音階に移る際の図形の変化を収めました。これにより楽曲内の音の動き・音に内在する神秘性を表現しました。
二つ目は、縦軸→音の強弱、横軸→時間として、音階を表すクラドニ図形を配置して楽曲全体を立体的に可視化しました。
三つ目は、今回の表現の元となったno.9の音楽に対し、実際どのようにクラドニ図形が変化するかを動画に収めました。
このように、写真という非時間的表現と持続性や連続性による時間芸術である音楽を
同時に見せることが今回の作品の大きな魅力のひとつだと思います。
「波動と時間の表現」ぜひご覧いただけたら幸いです。 |
|
|
 |
この関係性はイームズ夫妻のPower of Ten(1977年作品)に似ていると私は考えています。
マクロとミクロは行き着く先にどちらも深遠な世界がまっている。
普段、サウンドデザインや作曲という生業を持つ私はその深遠性に惹かれ、時に苦悩する。
クラドニ図形を見た時、そんな深遠な世界にほんの少し触れたような気がしたのです。
地球上にあるすべての音(空気振動)は音楽の可能性であると思っています。
そんな中クラドニ図形という音響物理現象を用いて音楽という人間的な行為を共存させることができる今回の企画は二つの宇宙を繋げるヒントになるのではないかと考えたのです。
クラドニ図形はそれぞれの周波数の振動が振動板に伝わり、振動のないところに砂が集まるという現象です。しかしどの周波数でも模様が明確になるわけではなく、ラジオのチューニングのように突如意図を持ったかのような明確な形が現れます。
その明確な形の出る周波数のみでメロディを形成しました。
そのメロディは東京から3年前にこの逗子という街に来た私が、初めて海のある生活をして受けた印象をモチーフにしています。
幾つかの周波数しか使えないという非常に難しい制限下のもと、この街でしか出てこなかったこのメロディを、この街の写真家でもある井田氏の写真作品と共に、ぜひお楽しみいただければと思います。
ぜひご覧いただけたら幸いです。 |
 |
|
 |